長崎県薬剤師会  アンチ・ドーピング活動について

※ 長崎県薬剤師会のアンチ・ドーピング活動内容はこちらをご覧ください。


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医療関係者の方へのアンチ・ドーピングに関するお願い

 ドーピング禁止物質等についての相談などは、「アンチ・ドーピングに関する相談体制」のページをご覧ください。

 下記の記載は、アンチ・ドーピングについて、あまりご存知のない先生方へ、案内させていただいています。
 なお、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構websiteに、「患者さんがもし・・・・アスリートだったら?」というページが設けられています。ぜひご確認ください。


 目の前の患者さんから、「ドーピング検査をうけるかもしれない」や「今度、国体に出るんだけど、ドーピングは大丈夫ですか」など、質問された場合、適切な対応をお願いします。

 ドーピングとは競技能力を高めるために薬物などを使用することで、スポーツにおいて厳しく禁止されています。
 ルールでは「禁止表」に示される物質や方法の使用またはそれを企てることがドーピングにあたります。
 ドーピング検査は、ほとんどの国際大会、さらに、主要な国内大会で実施されています。
 ドーピング検査で、ドーピング禁止物質が検出されれば、競技者本人の故意・過失にかかわらず、原則としてドーピング違反が成立してしまいます。 その結果は、競技成績の失効・原則4年間の資格停止と厳しいものです。
 医薬品の使用が治療目的であっても制裁が課せられることもあり、ルールを理解しておく必要があります。
 特に、次の2つのことが重要です。

① 「禁止表」に記載されている物質・方法の使用が禁止されているということ。

② 治療上必要な薬が、使用禁止薬となっている場合、「TUE」(治療使用特例)を申請することで、使用が可能となる場合があるということ。

 このことから、下記の2点について理解することが必要です。

1 使用可能な医薬品を調べる

2 治療上必要な医薬品についてTUE申請を行う

 それぞれについて、紹介します。

1 使用可能な医薬品を使用する

 「禁止表」に記載されていない医薬品(禁止されていない医薬品)を使用すればいいわけですが、・・・。
 世界アンチ・ドーピング機構は、「禁止表国際基準」として、毎年改定していますので、常に最新版で確認する必要があります。
 現在適用されている「2023年禁止表国際基準」は (公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のホームページ(http:// www.playtruejapan.org)より入手可能です。
 「禁止表国際基準に記載されていない医薬品(禁止されていない医薬品)を使用する」といっても、「禁止表」には、成分名で記載されていますし、禁止されている物質・方法の代表例を記載しているものもあり、判断が難しいのが実際です。


1) 薬剤師のためのアンチ・ドーピング ガイドブック
 そこで、使用可能薬リストを利用することが便利です。 特に、「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」(最新版は2023年版です。毎年7月頃までには最新版が公開されます。)がお役にたちます。 日本薬剤師会が、国体開催県の薬剤師会と、日本スポーツ協会アンチ・ドーピング部会ドーピングデータベース作業班と共同で、国体を先催県の薬剤師会等の協力の下、作成したものです。 使用目的別(薬効分類別)に使用可能薬が、一般用医薬品、医療用医薬品に分けて掲載されていますし、巻末に使用可能薬リスト掲載医薬品の索引があり、成分名と販売名のどちらでも検索できます。
 2023年版は、日本薬剤師会のホームページhttp://www.nichiyaku.or.jp/)に、令和5年6月に公開されました。PDFファイル形式でダウンロードができますので、データとして持ち歩くこともできます。なお、一般向けの冊子体の販売は行われていません。


2) スポーツファーマシスト
  お近くの薬局・病院薬局で、ご相談いただいても結構ですが、お近くの「スポーツファーマシスト」にもご相談いただけます。
 JADAは、「公認スポーツファーマシスト制度」を、2009年度より(公社)日本薬剤師会の協力のもと、開始しました。
 スポーツファーマシストは、最新のドーピング防止規則に関する正確な情報・知識を持ち、 競技者を含めたスポーツ愛好家などに対し、薬の正しい使い方の指導、薬に関する健康教育などの普及・啓発を行い、 スポーツにおけるドーピングを防止することを主な活動とします。
 お近くのスポーツファーマシストは、「スポーツファーマシスト」ホームページ(http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php)で検索できます。 本会では、長崎県内で相談対応ができる「スポーツファーマシストのいる薬局・病院薬局」を掲載してます。お気軽に声をかけてください。


3) 薬剤師会アンチ・ドーピング ホットライン
  「薬剤師会アンチ・ドーピング ホットライン」でもご相談いただけます。本会を含む都道府県薬剤師会が、日本薬剤師会と共同で運営しています。なお、ドーピングに関する問い合わせは、正確を期すために、ファクシミリでのみの受け付けとさせていただいています。また、対応できる時間が業務時間内のみですので、ご注意ください。(長崎県はこちら


4) Global DRO JAPAN
  さらに、2013年6月末に公開されました「Global DRO JAPAN」のサイト(URL https:// www.globaldro.com)が利用できます。
 アメリカ、イギリス、カナダのアンチ・ドーピング機構で運営していたものに、日本(JADA)が加わり、さらに、スイス、オーストリア、ニュージーランドが加わり、7カ国が協力して運営しています。
 これらの国で使用されている医薬品について、成分名や商品名を入力し検索が可能であり、国際基準禁止表 (Prohibited List)に則り、競技会、競技会外で当該成分や商品が、禁止物質・禁止方法か否か、および投与経路について検索することができます。医療用医薬品、一般用医薬品は全てではありませんが掲載されています。 なお、検索結果は、スポーツドクターやスポーツファーマシスト、ドーピング防止ホットラインに必ずご相談ください。
 また、 本サイトでの検索結果は保存して、競技者が自らが確認した記録として使用するようにと、JADAは勧めています。

2 治療上必要な薬が、禁止物質に該当する場合、TUE申請を行う

 TUE(Therapeutic Use Exemptions: 治療使用特例)とは、「禁止物質・禁止方法を治療目的で使用したい競技者が申請して、認められれば、その禁止物質・禁止方法が使用できるという手続き」です。
 申請は、競技者が行いますが、治療に関する情報は、治療を行った医師に記載していただく必要がありますし、診断根拠を客観的に証明する書類等も一緒に提出する必要がありますので、ご協力をお願いします。  競技者は承認が必要な日(競技大会など)の30 日前までにTUE の申請を行う必要があります(30 日前を過ぎてしまったら、受付けてもらえないということではありません)。

 「治療使用特例 に関する国際基準」(最新版が2023年版)及び申請用紙は、JADAのホームページ(http://www.playtruejapan.org)に掲載されています。
 TUE申請書記入例や、 気管支喘息治療に関するTUE申請のための情報提供書等も掲載されています。
 また、「 アンチ・ドーピングと医療 -2023年版-」も掲載されていますので、参考にしてください。

 なお、不明な点は、国体出場選手につきましては県スポーツ協会に、国際競技大会については各競技連盟にご確認ください。

 TUEは、通常、禁止物質・禁止方法の使用が予定される場合に前もって申請が必要ですが、特例的に、使用後に申請する遡及的TUE申請もあります。
 通常のTUE申請は、居場所情報を提供している競技者や、「TUE 事前申請が必要な競技大会」に出場する全ての競技者が該当します。
 それに対して遡及的TUE申請 は、全ての禁止物質・禁止方法について、救急治療または急性病状の治療が必要である場合(予定していなかった事態)に使用した際に事後的に申請するものです。さらに、「TUE 事前申請が必要な競技大会」に該当しない競技会でドーピング検査を受け、その結果で禁止物質が検出された場合にも事後的に申請します。なお、この場合も、申請について審査が行われます。
 当然ながら、「当該禁止物質又は禁止方法を使用する以外に、適正な治療法が存在しないこと」等、使用を認める上での条件があり、申請後審査を経て結果が通知されます。
 ご留意いただきたい点は、医療機関で国体へ参加するレベルの競技者の治療を行った場合、後日、競技者やJADA等から、薬の使用や治療内容について、問い合わせを受けることがあります。競技者を守るためにも、ご協力をお願いします。医療機関では、カルテに適正に記録していただいてあれば問題はありません。薬局においても、必要に応じて対応できるように、記録を残しておいていただきますようお願いします。

長崎県薬剤師会は、アンチ・ドーピング活動を推進しています。

 


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